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汽水域 Ki-sui-iki

ローカルとオルタナティブ 浸透し混じり合うところに生まれる生態系

まじめにやれ!城崎温泉の外湯巡りは効能と御利益をはき違えているぞ

ローカル 温泉

突然、城崎温泉に行ってきました。カニ押しがすごい。

 

寂れた温泉街という先入観があったのですが、そんなことない。正月休みも手伝ってか、大賑わいでした。

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城崎名物といえば、外湯巡りだそうで。外湯巡り発祥の地とも言われています。

 

他の温泉地だと温泉旅館が宿泊客以外にも解放する形もあるのですが、城崎温泉の場合は、7カ所の外湯専門の温泉があり、これを巡ります。

 

共通1日券を購入すれば、1200円で7カ所全部が入り放題とお得です。

 

しかし、なんだか様子がおかしいぞ。

 

 

それは、追々、見ていくとして。

 

まずは、城崎温泉駅。カニ押しの様子。

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駅の発着音もパフィーの「渚にまつわるエトセトラ」。関係なさそうですが、「カニ食べ行こう」という歌詞がありました。あとは、とにかくあちこちでカニを売っています。カニ料理の店もありますが、それよりもカニを売っている。

 

ペッパーくんもいます。

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城崎温泉外湯巡り

そろそろ外湯の話に戻します。

 

まずこちらが共通の情報。

効能:神経痛・筋肉痛・うちみ・慢性・消化器病・痔病・疲労回復 他

泉質:ナトリウム・カルシウム-塩化物・高温泉

温度:42℃

 

源泉が同じなので、泉質、効能は同じになります。

 

しかし、7カ所それぞれに個性を出したいですよね。ということで、何やら凄いことになっているようです。何が凄いかは、まあ、追々見ていきましょう。

 

駅舎温泉 さとの湯(ふれあいの湯)

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まず、こちらは駅のホームからも屋根が見える、駅にもっとも近い外湯です。駅のロータリー右手にすぐにあり、足湯もできます。

 

こちらのキャッチフレーズは「ふれあいの湯」。まあ、これは普通です。次からだんだんすごくなってくる。

 

地蔵湯(家内安全・水子供養衆生救いの湯)

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駅から駅通りをまっすぐ進み、柳通りとクロスするところにあります。地蔵湯だけに、入り口のところにお地蔵様が祀ってあります。

 

こちらは「家内安全・水子供養衆生救いの湯」というキャッチフレーズが付いています。

 

このへんから、なんかあやしくなってきた。温泉に入ると家内安全になると。それは、温泉の効能なのか?はたまた、お地蔵様の御利益か?

 

謎が提示されたところで次へ行ってみたいと思います。

 

柳湯(子授安産、子授けの湯)

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川を挟んで北柳通りと南柳通りがあり、柳の並木が川端に続いています。このあたりは、多くの温泉旅館が軒を並べているエリアです。北柳通りをを川の上流の方へ歩いて行ったところにあるのが、柳湯。和風の造りの建物が目印です。

 

で、ここは「子授安産、子授けの湯」。お地蔵様は付いていないのに、御利益みたいなものは付いてくる。

 

昔から子宝の湯というのは方々にあります。温泉で温まって体質改善すれば子宝にも恵まれるでしょう、というロジックでしょう。無いわけではない。

 

とはいえ、源泉は同じで泉質も一緒ですよ。ここだけ、子宝が授かるというのは、泉質による効能とは違う、何か特別な力が働いているのでしょうか。

 

一の湯(合格祈願・交通安全、開運招福の湯)

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柳湯からさらに上の方へ向かった王橋のたもとにあります。明治レトロな黄色い建物が目印です。「洞窟温泉」という露天風呂もついています。

 

こちらはついに「合格祈願・交通安全、開運招福の湯」になってきました。これは、もう温泉の効能ではありえない。

 

科学的ではないです。と言ってみて、「温泉の効能というのは科学的なのか?」というところに気づいてしまった。

 

確かに温泉にはいろいろな成分が溶けていて、それが怪我や病気の治療によいと経験的に知っている。とはいえ、それは「漢方薬」みたいなもの。もちろん、漢方薬はダメではないし、近年、その効能がどんどん注目されてきている。

 

なんだけど、「経験的」というのは間違った情報も入り得る。因果関係をバチッと証明できてるわけではないわけです。長い年月をかけて、水が石を洗うようにして正しい情報に洗練していくのが「経験則」なわけですが、現在もまだ間違った情報をそぎ落とす、その途上である可能性も無いではない。

 

と考えれば「温泉の効能」そのものも「科学的だ」とはいえないのではないか。そうした旧習にたいするアンチテーゼなのか。「合格祈願」がそこに混じっていても文句を言えないではないか、ということか。

 

というのは、たぶん、考え過ぎ。

 

ともかく次へ、行く前に小休止。

 

城崎温泉には、街中に温泉を飲めるスポットか何カ所かあります。一の湯の正面にあるここもそのひとつ。

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味は塩化物泉というだけあって、塩味。だいたい、そば湯に食塩を入れたような感じの味です。

 

こちらは、木屋町小路。お土産物や飲食店の入った商業施設です。

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2008年にオープンした新しい施設ですが、中は京都の町屋の小路風で、屋内なのか屋外なのか分からないグラデーションっぽい建築のデザインになっていて風情があります。

 

その向かいにあるのが、四所神社

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よく温泉地だと、源泉やそれに近い山の方に神社が建っていることがありますが、ここは温泉街のど真ん中。

 

どういう神社か分かりませんが、名前から言えば、近隣方々の神社から神さまを合わせてお迎えした感じの神社なのでしょうね。もっとも、そういう神社は奈良時代の国庁近くにはあっても、温泉街にはあまりない。

 

そろそろ、外湯巡り再開します。

 

御所の湯(火伏防災・良縁成就、 美人の湯)

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四所神社の隣にあるのが、この御所の湯。一の湯からは、さらに上に遡ったところにあります。平安時代っぽい雅な建物が目印。

 

ここは、もう火の用心から、良縁、美人と御利益が多方面になってきています。

 

美人の湯というのも全国各地にありますが、だいたいは泉質が肌にいいというやつ。こちらはそうじゃなく、もっと斜めから美人にし掛かってくるものと思われます。

 

まんだら湯(商売繁盛・五穀豊穣、一生一願の湯)

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御所の湯から、さらに遡って、途中を左折、橋を渡った奥まったところにあるのが、こちら。7つの外湯のうち、唯一、川の右岸、つまり南側にあります。お寺風の建物です。

 

「商売繁盛・五穀豊穣、一生一願の湯」というのは、現代風に解釈すればビジネス関係の御利益でしょうか。

 

もう、しれっと「御利益」って言ってしまってますが、効能は効能で別にあるので、もう御利益ってことでいいのではないでしょうか。

 

鴻の湯(夫婦円満・不老長寿、しあわせを招く湯)

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まんだら湯から、さらに川を遡った一番上流にあるのが、こちらの温泉。コウノトリが足の傷を癒やしたのが名前の由来とあって、鳥のオブジェが置いてあります。そういえば、今年は酉年でした。

 

こちらの御利益としましては、「夫婦円満・不老長寿、しあわせを招く湯」となっております。

 

以上、御利益で選べる7つの外湯。一日券で全部入れば総取りだ。

 

だいたいに外湯巡りというのは、露天風呂と浴室の造りで違いを出していくのが常道ですが、そういうところを一気に外してきた。

 

まさか御利益いろいろで来るとは。

 

まあ、信じる者は救われますし、利用者が楽しんでくれればそれでいい、という意味では上手いやり方です。浴室リフォームするより安上がりだし。

 

温泉寺

「救われる」つながりで、最後にお寺を紹介。鴻の湯の向かい側に温泉寺というお寺があります。ここには、薬師泉源という温泉の源泉もあります。

 

温泉の源泉にはよく神社があると言いましたが、城崎温泉はお寺が建っています。

 

そもそも、城崎温泉は道智上人が千日の修行の後に湧き出した温泉が始まりと言われ、仏教にゆかりが深いところ。温泉寺の開山もその道智上人です。

 

こちらは境内にある薬師堂。

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さらに登ったところには本堂がありますし、城崎美術館もあります。それから、ロープウェイの発着所もこちらになります。

 

温泉街の印象

最後に温泉街としての印象を。街歩きを楽しめるスポットやお店も新しく増えているようで、古い温泉街からの脱皮を図ろうとしているのが、よく分かります。

 

客層は、正月休みということもあってか、家族連れや高齢者が多かったように思います。あとは学生のグループ。

 

京阪神からのお客さんが多いようです。JRも京都、大阪からは特急がありますが、鳥取方面からは普通列車しか無いので、ターゲットは関西なのでしょう。

 

あと、印象としては庶民的な感じです。ちょっとスーパー銭湯に近い感じでしょうか。カップルよりも家族連れで行くところ、という。

 

ブランドイメージとしては、あまり高級感が無いのかなあ、と思いました。いい悪いではなく、そういうユーザー層になっている。

 

あとは、タバコを吸う場所が最近まれに見るルーズさでした。喫煙場所は設けてないので、吸いたい人はなんとなく吸う感じ。まあ、そこらへんも庶民的なおおらかさといえば、それでいいのかなあ、とは思いました。

 

そういう感じ。

 

最後にもとに戻しますと、いろんな御利益がある外湯巡りは全国的にも、まだ城崎だけだと思います。詳しい情報はこちらでどうぞ。