汽水域 Ki-sui-iki

ローカルとオルタナティブ 浸透し混じり合うところに生まれる生態系

移住希望者必見!3週連続しまねナイトの最終回は、「仕事とお金のリアル」でした

先日、清澄白河リトルトーキョーで「しごとバー しまねナイト」の第3弾がありました。3週連続の島根特集の最終回は、『「移住×仕事・暮らし・お金」のリアル 編』。

この日のホストにあたる「バーテンダー」は、戸田耕一郎さんと有田庄一郎さん。お二人とも島根に拠点を持っています。

 

戸田さんは東京都の出身。いまもっとも注目されている街「創造力特区・江津市」で、再生した古民家を使ってベジタブルキッチン『蔵庭』を営んでいます。

 

 

『蔵庭』は江津市を流れる大河・江の川を市街地からずっとさかのぼったところにぽつんとあります。建物はおそらくかつて豪農か河川流通に関わっていた家だったであろう立派なもので、庭を含めて元の建物を生かしながら、開放感のある明るいレストランに改装してあります。友人の営むベーカリーも併設してあり、こちらも人気です。

 

『蔵庭』に行ったときに印象的だったのは、母屋2階の床をぶち抜いて吹き抜けにしてあること。この思い切ったリノベーションがレストランの開放感のを作りだしているように思いました。

 

それから、人里離れたところにも関わらずお客さんが絶えないこと。幹線道路沿いにはありますが、決して便利なところではありません。都会なら駅からの距離と人の導線が集客に大きな影響を与え、道路を挟んであっちとこっちでまったく人の集まりが違う、ということもよくあります。しかし、車社会の地方ではそれほど立地は問題にならないようです。多少の距離は車をとばせば気にならない。「行きたい」と思わせるお店をつくれば、遠くからでもお客さんは集まってくれるのかもしれません。

 

戸田さんは『蔵庭』だけでなく、Webや映像の制作などさまざまな仕事をしています。東京にも拠点を持っていますが、徐々に島根のウエイトが大きくなってきたとか。

「これからは、複数の仕事、技能を持った人が強い。何か新しいことを始めようと思ったとき、いろんなスキルがあって自分でできることが多いというのは、とても役に立つ」

というお話が印象的でした。

 

それ以外に戸田さんのお話で印象的だったのは、「とにかく動け」ということ。考えすぎるより動く。

それから、「地方はプレイヤーが少ない。何かをやったときの影響も反響も大きい」ということです。

 

 

もうひとりの有田さんは、日本で唯一の県立中山間地域研究機関である「島根県中山間地域研究センター」の勤務。熊本県出身で大阪で勤めたのち、島根県Iターンしました。移住したのは2003年のこと。飯南町という広島県境の山深い町にご家族で住んでいます。

 

現在は、空き家だったところを借りて住んでいますが、島根に来てから引越しを二度しているそうです。つまり、いきなり「田舎暮らしっぽい家」に住んだのではなく、少しずつ田舎暮らしに馴染んでいく中でアップグレードをしながら、今の暮らしにたどり着いたということです。確かにそういう慎重さや、自分たちにも周りの人との関係にも根を育てるような時間が必要なのかもしれませんね。

 

有田さんは、自分も含めた移住者の生活を長年調査し、その成果として田舎に移住して必要なお金を計算するソフトを開発しました。将来にわたって必要になってくるお金と、どれだけの収入、どれだけの蓄えが必要かが分かるフィナンシャルプランナーのようなソフトです。

「田舎は物価が安い」というのは神話みたいなもので、実際にはほとんどのものを買わなければいけないし、安いものもあれば高いものもある。都会に住めば必要の無い自動車を持たないと生活に困るということもあります。

お金がすべてではありませんが、足りないと暮らしていけません。情熱が先行しがちな昨今の地方移住ブームの中にあって、こういう冷静でシビアなサポートというのが、本当に必要になってくるものかもしれません。

 

 

さて、11/23(勤労感謝の日)には東京で『しまねU・Iターンフェア2016』が行われます。島根のヒト・コト・シゴト大集結。場所は東京国際フォーラムです。日本一の過疎県として全国に先立って移住に取り組んできた島根県。そのノウハウが詰まったイベントは、島根や移住に興味がある人はもちろん、そうでない人にもおもしろいイベントになっています。