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ローカルとオルタナティブ 浸透し混じり合うところに生まれる生態系

【NBA】2017トレード期限まとめとシーズン終盤展望

NBA

今季のNBAのトレード期限は2/23だった。オールスターブレイクの日程改善もあり、後半戦開幕直前にトレードが締切られることになった。トレードの状況と後半戦の展望をまとめた。

 

 

最近のトレード期限の傾向

NBAではトレード期限直前の大型トレードが少なくなっている。理由のひとつとして戦術の複雑化があげられるだろう。

 

かつてはどのチームも2メンゲームを中心としたシンプルな攻撃を主体としていた。そのため、シーズンが佳境になってから中心選手を入れ替えてもプレイオフまでにはチームを仕上げることができた。

 

一方、最近では戦術の浸透に時間がかかり、選手の相性によってチームが機能しないリスクも大きくなってきた。そのため、プレイオフ進出を狙うチームでは、中心選手同士の大型トレードは避け、ロールプレイヤーの補強が行われる傾向が強くなってきた。

 

また、もうひとつ気をつけなければいけないのは、NBAのトレードでは選手の能力を等価交換するわけではないということだ。将来のドラフト指名権も含めて、選手の「資産価値」を交換する。これには、サラリーキャップの影響も大きい。

 

好調のチームが即戦力の優秀な選手を集める一方、調子の悪いチームは夏に向けてドラフト指名権をかき集めるとともにサラリーキャップに空きを作る。

 

そのため、今夏に契約が切れる選手はトレードの対象になりやすい。夏には無償でチームを去られるリスクがあると同時に、はじめからキャップスペースを作るつもりならば都合がいい。

 

戦力補強はまだ続く

最後に近年注目を集めているのが、「もうひとつのトレード期限」であるプレイオフ出場資格保持期限だ。トレード期限が過ぎてもフリーエージェントとの契約はシーズン終了まで可能だ。しかし、プレイオフロスターに登録できる選手との契約期限は決まっている。つまり、プレイオフに向けた選手補強の最終期限といってもいい。

 

例年、トレード期限前後には「契約の買取り」によりフリーエージェントとなる有力選手がいる。再建に向けてサラリーキャップに空きを作りたいチームと弱小チームでプレイすることを嫌がる選手の間で合意が得られれば、一定の違約金支払いにより残りの契約を破棄できる。

 

レイオフに出場する有力チームにとっては、優秀な選手をきわめて低いコストで獲得できるチャンスだ。今年は例年よりも数日早く3/1が期限となる。

 

サマリー

 今冬目玉のビッグトレードとしては、デマーカス・カズンズのペリカンズ移籍があげられる。オールスター選手のシーズン中の移籍は最近めずらしい。カズンズはオールスターMVPのアンソニーデイビスとツインタワーを形成することになる。ペリカンズが逆転プレイオフ出場に向けてリーグ終盤の台風の目になれるか注目だ。

 

優勝候補のキャブスとウォリアーズは、トレード期限後に契約買取りでフリーエージェントになる選手を狙っている模様だ。キャブスは、デロン・ウィリアムスとアンドリュー・ボーガット、ウォリアーズはホセ・カルデロンの獲得が確実視されている。

 

他にプレイオフを見据えて注目したい動きを見せたのは、ウィザーズ、ナゲッツ、サンダーあたり。また、絶好調のロケッツがさらなる補強を目指して動いたことも興味深い。逆に、ブルズ、ホークスはプレイオフに進出できそうだが、すでに来季に目を向けているようにも見える。

 

そして、カーメロ・アンソニーは今季も動かず。ニックスの低迷とともにゴシップのネタになってしまっている。

 

東地区

セントラル・ディビジョン

クリーブランド・キャバリアーズ(今:++ 来:0)

連覇を狙うキャブスは、出場機会の減っていたベテラン・ビッグマン、クリス・“バードマン”・アンダーセンをホーネッツに放出したのみ。

 

故障中のケビン・ラブの穴は、緊急補強したデレック・ウィリアムスがよく埋めているが、ベンチから出てくるPGの不足は埋まっていなかった。

 

キャブスは、トレード期限後、マブスを解雇された元オールスターPGのデロン・ウィリアムスと契約。個で打開する能力の高いプレイメイカーだ。

 

同じくマブスからシクサーズへ放出されていたアンドリュー・ボーガットもシクサーズから解雇されており、キャブスへの合流が確実視されている。ボーガットはウォリアーズ優勝時の先発センターで守備と優勝経験で貢献できる。

 

シーズン中の補強に積極的な印象の強いキャブスだが、これもレブロン、カイリー・アービングというチームの核がはっきりしているからだろう。連覇に向けて着々と脇役を補強している。

 

シカゴ・ブルズ(今: 来:?)

サンダーとのトレードで、屈強なPFタージ・ギブソンを放出。ダグ・マクダーモットもベンチから出てくる得点源として活躍していた。それに対して、新加入はキャメロン・ペインら若手選手。プレイオフスポットを争う状況で、来季以降に舵を取ったという印象もある。

 

今季のブルズはシカゴ出身のドウェイン・ウェイドを獲得するなど大型補強で期待されたが、チーム内の不協和音も聞かれるなど苦しんでいる。エースのジミー・バトラーをトレードし再建期に入るとの噂もあったが、それは回避。しかし、ベテランのモチベーションを維持するのは厳しい動きとなった。

 

ミルウォーキー・バックス(今: 来:+)

センターのマイルズ・プラムリーをホーネッツに放出。代わりに同じポジションのロイ・ヒバートとスペンサー・ホーズを獲得したが、直後にヒバートをナゲッツに送り、ドラフト2巡指名権を獲得している。

 

ジャバリ・パーカーが今季絶望の状況でも、ヤニス・アデトクンボの奮闘でプレイオフスポットを争っているバックス。しかし、トレード期限前の動きは今季よりも来期以降を見据えた動きと見た方がいい。

 

アトランティック・ディビジョン

トロント・ラプターズ(今: 来:0)

ジャレッド・サリンジャーに2つのドラフト指名権、キャッシュをつけてサンズに送り、PJ・タッカーを獲得。ウイングに厚みを増した。テレンス・ロスを放出して、サージ・イバカを獲得するトレードを行っていたため、トレード期限前の動きは大きくなかった。

 

カイル・ラウリーが手首の手術をして離脱中だが、ガードの補強は無し。レギュラーシーズンは苦しむだろうがプレイオフには間に合う。全体的にはチームをなるべく動かさない方針だ。

 

フィラデルフィア・セブンティーシクサーズ(今: 来:?)

アトランタ、ダラスとトレードをまとめ、アーサン・イリヤソバとナーレンズ・ノエルを放出。ディアゴ・スプリッター、アンドリュー・ボーガット、ジャスティン・アンダーソンを獲得したが、ボーガットはウェイバーへ。差し引き2つのドラフト2巡指名権を手に入れた。

 

一方で、積極的に売りに出していたとされるジャヒール・オカフォーには買い手がつかず。

 

例年通り、夏に向けてロスターの整理とドラフト指名権の獲得を狙ったトレードになったが、ジョエル・エンビードのようなスターが現れたところ。そろそろ、プレイオフを目指してチームの核を明示することが必要だ。

 

ニューヨーク・ニックス(今: 来:--)

トレードは無し。ブランドン・ジェニングスを解雇した。毎年、移籍が噂されているカーメロ・アンソニーだが、トレード拒否条項を盾に故郷ニューヨークに居座り続ける腹だろう。

 

ベテランを補強し飛躍を狙ったニックスだが、状況はよくない。ジェニングスも実力者だが、チームを去る理由は戦術との不一致が原因という。球団社長のフィル・ジャクソンは不振の責任をカーメロに負わせて追い出したい考えだが、カーメロはジャクソンがクビになるのを待っているようにも見える。

 

ベテランを補強するのか、若いポルジンギスを中心として再建目標を先に置くのか方向性がはっきり見えてこない。

 

ブルックリン・ネッツ(今: 来:?)

リーグ最下位に沈むネッツは、ウィザーズ、ロケッツとトレードを行った。ポイントは得点源のボーヤン・ボグダノビッチを放出したことと、ドラフト指名権を獲得したこと。合わせて、ルイス・スコラやウィザーズから獲得したマーカス・ソーントンを解雇。夏に向けた再建モードの動きと見ていい。

 

サウスイースト・ディビジョン

ワシントン・ウィザーズ(今:++ 来:0)

アンドリュー・ニコルソン、マーカス・ソーントンにドラフト指名権をつけてネッツに送り、ボーヤン・ボグダノビッチとクリス・マッカラーを獲得。

 

ボグダノビッチはクロアチア人に典型的なウイングのシューターで、シックスマンとしてベンチの攻撃力に厚みを増すのに貢献できる。簡単にディフェンスを引きつけることができるウォール、ビールとともにプレイすることでオープンで外角のシュートを撃つ機会も増えるはず。ウィザーズの攻撃をより破壊的にする補強だ。

 

ドラフト指名権を放出していることからみても、東地区2位が狙える位置につけるウィザーズがプレイオフで結果を残すための積極的なトレードといえるだろう。

 

アトランタ・ホークス(今: 来:0)

シクサーズからアーサン・イリヤソバを獲得、ディアゴ・スプリッターを放出した。またサンズにはマイク・スコットを放出。ライアン・ケリーとラマー・パターソンを解雇した。

 

一部で噂されたポール・ミルサップのトレードは無かったもののカイル・コーバーの放出に続き、再建色のにじむ動きとなった。

 

イリヤソバは外角シュート力があり得点力の高いPF。ベンチの攻撃力向上が期待できる。

 

レイオフ進出は確実なホークスだが、上位躍進は難しそうだ。今季を取るのか来季を見るのか、やや中途半端な動きだ。

 

シャーロット・ホーネッツ(今: 来:+)

ロイ・ヒバートとスペンサー・ホーズをバックスへ放出し、マイルズ・プラムリーを獲得。また、キャブスからはキャッシュとともにベテランのクリス・アンダーセンを引き受け、その後、解雇している。

 

センターの交換トレードだが、補強というより余剰人員の処分の色合いが濃い。プラムリーも移籍後、プレイタイムを得ていない。

 

シーズン中盤以降の大失速でプレイオフ進出が厳しくなってきたホーネッツ。今夏の戦力補強に向けたサラリーキャップの整理を始めたと見るのが妥当だろう。

 

西地区

パシフィック・ディビジョン

ゴールデンステイト・ウォリアーズ(今: 来:0)

リーグトップを快走するウォリアーズにトレード補強の動きはなかった。しかし、レイカーズを解雇されたホセ・カルデロンを獲得するという噂がある。

 

カルデロンは3点シュートに特徴のあるPG・ステフィン・カリーのバックアップとして、ショーン・リビングストンとともにセカンドユニットのバックコートを任されることになるだろう。マイナーチェンジだが、リアンドロ・バルボサが抜けた穴を埋めるためには有効だ。

 

ロサンゼルス・クリッパーズ(今: 来:0)

ウォリアーズ同様トレードの無かったクリッパーズ。昨年に続き、カーメロ・アンソニーの獲得が噂されたが実現しなかった。

 

しかし、司令塔のクリス・ポールの復帰が最大の補強となる。グリフィン、ジョーダンも調子を上げており、シーズン終盤に向けてどこまでチーム力を向上できるか注目される。

 

サクラメント・キングス(今:--- 来:?)

今冬最大のトレードでデマーカス・カズンズを放出した。カズンズに加えオムリ・カスピをペリカンズに送り、バディ・ヒールド、タイリーク・エバンス、ラングストン・ギャロウェイを獲得。ドラフト指名権も2つ手に入れた。

 

今季はプレイオフを狙える位置につけていたが、一気に再建モードに逆戻りしてしまった。

 

カギとなるのは、今夏の労使協約改定だ。NBA全体の収益好転を受けてサラリーキャップ上限が上がり、大型契約が可能になった。カズンズは来季まで契約が残っているが、今夏の契約更新が可能。それを前にして、オーナーがカズンズにキングスの未来を託すことをためらった形だ。

 

ロサンゼルス・レイカーズ(今: 来:+)

ロケッツと2件のトレードをまとめた。ルー・ウィリアムスを放出し、コーリー・ブリューワーとドラフト1巡指名権を獲得。マルセロ・ウェルタスを放出し、タイラー・エニスを獲得。ブラッド・ニューリーの交渉権も得た。

 

他に、ホセ・カルデロンを解雇。チームの得点王だったウィリアムスも含めてベテランのガード陣を一掃した。

 

レイカーズはオーナー一族の内紛がようやく片付いた模様で、マジック・ジョンソンが強化責任者に就くことが発表された。今季は成績には結びつかないものの若いチームが将来に期待を持たせる内容の試合をしている。来季の飛躍に向けた夏の補強の下準備といった動きだろう。

 

フィニックス・サンズ(今: 来:+)

ホークスとのトレードではマイク・スコットを獲得。ラプターズへはPJ・タッカーを送り、ジャレッド・サリンジャーを獲得。しかし、その後、スコット、サリンジャーともに解雇をしている。

 

西地区最下位のサンズだが、ブレッドソーは好調でブッカーの台頭もある。すでに来季の復活に向けたサラリーキャップの整理の動きといえるだろう。

 

サウスウエスト・ディビジョン

ヒューストン・ロケッツ(今:++ 来:0)

好調ロケッツは積極的に動いた。レイカーズにコーリー・ブリューワーとドラフト1巡指名権を放出し、ルー・ウィリアムスを獲得。また、レイカーズにはタイラー・エニスにブラッド・ニューリーの交渉権を付けて渡し、マルセロ・ウェルタスを獲得した。ネッツには金銭でKJ・マクダニエルズを放出。

 

ベンチから出てきてインスタントに得点を量産できるシューターのウィリアムスを獲得したことが最大の補強。アップテンポな展開で3点シュートの雨を降らせる攻撃をさらに強調した形だ。

 

ダントーニのチームは守備が弱くプレイオフでは勝てないという批判など意にも介さず、得点力強化している。それが吉と出ても凶と出ても、プレイオフに向けて楽しませてくれるチームだ。

 

ダラス・マーベリクス(今: 来:+)

アンドリュー・ボーガット、ジャスティン・アンダーソンにドラフト指名権をつけて、シクサーズの若いビッグマン、ナーレンズ・ノエルと交換。

 

また、構想外となっていた元オールスターPGのデロン・ウィリアムスを解雇した。

 

序盤の絶不調からチームを立て直し、プレイオフを狙える位置まで復調してきた。しかし、今季よりも来季のチームだ。ノビツキー引退も視野に入れて、若手中心のチームをつくることに注力した動きだろう。

 

ニューオーリンズペリカンズ(今: 来:?)

ビッグ・トレードを敢行。デマーカス・カズンズとオムリ・カスピを獲得し、バディ・ヒールド、タイリーク・エバンス、ラングストン・ギャロウェイに2つのドラフト指名権を付けてキングスに送った。また、手薄になったバックコートを埋めるため、ベテランのジャレッド・ジャックと10日間契約を結んだ。

 

これで、カズンズとアンソニーデイビスのオールスター・ツインタワーが形成されることになった。リーグ全体のスモールラインナップ化に逆らう動きでもあるが、カズンズもデイビスも機動力とシュートレンジを兼ね備えたビッグマンで、リーグに旋風を巻き起こし、トレンドを覆す可能性も十分にある。

 

カズンズの契約延長には不透明な部分もあり、長期的にはリスクの高いトレードだが、今季終盤に関してはペリカンズが台風の目になるかもしれない。チームは大幅に負け越しているが、今季はプレイオフのラインが低く、ここから巻き返せば最終スポットに滑り込むことは十分可能だ。

 

ノースウエスト・ディビジョン

オクラホマシティ・サンダー(今: 来:0)

ブルズにキャメロン・ペイン、アンソニー・モロー、ジョフリー・ラバーンを送り、タージ・ギブソン、ダグ・マクダーモット、ドラフト2巡指名権を獲得した。

 

ベンチから出てくる若手を放出して貢献度の高いベテランを手に入れたトレードで、短期的にはサンダーの方にメリットが大きい。

 

ギブソンはサボニスに足りないタフネスと経験を供給し、アダムス、カンターとともにペイントを固めるのに貢献できる。また、マクダーモットもベンチから出てきて得点ができるウイングのシューター。サンダーに不足している3点シューターで、ウエストブルックとコンビで外角の脅威となれる。

 

デュラントの移籍で戦力ダウンしたサンダーだが、来季以降ではなく今季をターゲットにしたトレードを行ったことは興味深い。ウエストブルックの孤軍奮闘ばかりが目立っていたが、サポートキャストの修正を行ったことでここからどこまで浮上できるだろうか。

 

デンバー・ナゲッツ(今:+ 来:+)

ユスフ・ヌキッチとドラフト指名権と交換でブレイザーズからメイソン・プラムリーを獲得。また、バックスにドラフト指名権を送り、ロイ・ヒバートを獲得した。

 

いずれも、ニコラ・ヨキッチをバックアップするセンターを補強する動きだ。

 

例年この時期、他チームに選手を供給し再建計画の修正を繰り返していたナゲッツだが、プレイオフの最終スポットに位置する今季は自チームの戦力を補強するトレードを行った模様。

 

ヨキッチ、ガリナリ中心にチームの方向性が定まったのが大きいだろう。おもしろいが勝てないチームから脱して、念願のプレイオフ出場を果たしたいところだ。