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汽水域 Ki-sui-iki

ローカルとオルタナティブ 浸透し混じり合うところに生まれる生態系

『ぼくらは奥出雲で幸せをみつける』トークライブ@東京

しまね ローカル 移住

島根県奥出雲町が主催するトークライブ、『ぼくらは奥出雲で幸せをみつける』が1月13日、東京・清澄白河のリトルトーキョーでありました。ゲストは、「ソトコト」編集長、指出一正さんと、奥出雲ゲストハウスかがり屋代表、玉井圭太さん。

 

奥出雲町はその名の通り、島根県東部、出雲地方の一番奥、広島との県境にある中国山地のど真ん中の町です。高齢化率が40%の典型的な過疎の町ですが、魚沼産コシヒカリと並ぶ品質のブランド米・仁多米の産地であるなど隠れた魅力もあります。

 

しかし、本当の魅力はそこではなく、近年、意欲的な移住者を次々と引き寄せているというところです。

 

 

玉井さんもそんな移住者のひとり。東京で生まれ育ち介護の仕事をしていましたが、昨年4月に地域おこし協力隊員として、奥出雲町にIターン。現在は、JR出雲横田駅前にゲストハウス「かがり屋」を開業すべく準備中です。

 

ゲストハウスはアウトドアをコンセプトにした設計で、星空を眺められる展望デッキも設置予定のこと。高校生をはじめとした多くのボランティアの手を借りながらリフォームを建物のリフォームをしており、今年の4月に開業を予定しています。

 

日本各地のゲストハウスを巡った玉井さんが奥出雲町を選んだ理由は、「人」でした。豊かな自然や名産、名所はどこの田舎にも必ずあります。しかし、決め手となったのは、同じ土地で一緒に暮らして気持ちいいと思える人たちがいるということでした。

 

人と人の関係が深い奥出雲町ですが、玉井さんが住んでみて感じたことは、住民が集まれる場所、そして外から来た人が立ち寄れる場所が無いということでした。そのことが、ゲストハウスを作ろうと思ったきっかけだそうです。

 

田舎というのはコミュニティがしっかりしているように思われていますが、高齢化や過疎化でそれが痛んできたり、昔からあるものが時代に合わなくなったりしていて、実はもう限界ギリギリのところに来ているのかもしれません。そして、外から来た人こそがそれを編み直す仕事にふさわしいのかもしれません。

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指出さんはソーシャル&エコをテーマにした雑誌「ソトコト」の編集長として、日本全国を訪ねて、地域の取組みを定点観測しています。奥出雲町も指出さんが注目する地域のひとつです。

 

指出さんが注目しているのは「関係人口」というキーワード。これが「地方創生」とは一線を画した「ソトコト流」のキモとなるところです。

 

移住者を増やす、人口を増やす、産業を増やす、税収を増やす、という直接的に「量」を増やすことではなく、地域の中から外かに関わらず関係する人を増やしていく、あるいは「関係」の数を増やしていくということです。

 

もちろん、それにはKPIを曖昧にして自己満足のお祭りになってしまうのではないか、という批判もあるかもしれません。

 

しかし、ネットワークの時代です。国でも地域でもヒト、モノ、コトが閉じた領域の内側で完結しているわけではありません。境界線にこだわることなく、「関係」を増やしていくことが結果として「内側」の充実につながるのでしょう。

 

脳細胞の数は生まれてから死ぬまでほとんど変らないといいます。大切なのは、細胞同士のつながりの数とそれがどのようにつながっているか、の方なのだそうです。

 

それ以外に指出さんが注目しているのは「スーパー公務員の存在」。奥出雲町にも三成由美さんという「スーパーな」役場職員がいます。

 

実は、スーパー公務員の存在は、裏返しに田舎の閉鎖性、保守性を物語っているのかもしれません。新しいことを始めるにはどんな世界でも抵抗はある。田舎へ行けば行くほど風当たりは強くなる。そうした中でうまく調整して協力者を増やしていく、チャレンジしやすい環境をつくる、そのための黒子になる人の役割が大切なのでしょう。

 

もうひとつ指出さんが意識しているのは、「地方」ではなく「地域」という言葉を使うこと。そう言い換えることで、田舎だけではなく都会もその中に含めることができるようになります。そして、もしかすると、自治体という境界線に縛られずに「地域」という枠組みを設定することもできるのかもしれません。

 

この日は、もちもちの仁多米ベーグルも振る舞われ、会場満員の大盛況でした。

 

奥出雲町では、オーダーメイド型の体験ツアー「奥出雲暮らし入門」という取組みをしていますが、今年はすでに定員が埋まってしまったとのこと。奥出雲町の人気がうかがえます。

 

また、地域おこし協力隊の募集もしています。

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